メコン上流地域における各国相互関係深化の現状と今後の見通しについて

折山光俊

 

1.当該地域の概要

 メコン上流地域は、中国雲南省、ラオス人民民主共和国、ミャンマー連邦及びタイ王国の4カ国からなる地域であり、ADB(アジア開発銀行)が音頭を取って進めている拡大メコン地域(GMS=Greater Mekong Subregion)経済協力の中心地域でもある。また最近ではこの地域は「黄金の四角形」と呼ばれることもあるが、新たな成長地域として注目を集めつつある地域であることは間違いない。

 この地域は雲南省の北部山岳地帯を除けば熱帯性気候であるが、標高が1000m以上と高いことから暑期でも比較的涼しく過ごしやすい。食文化では、みそや納豆などの大豆発酵食品が作られている地域もあり、日本文化のルーツとも言われている。

 当該地域における人口は1億人を超えるが、中国の漢族、ミャンマーのビルマ族などの他に、タイ族が4つの国にまたがって居住している。それぞれ中国・雲南省のタイ族(約100万人)、ラオスのラーオ・タイ族(=低地ラーオ。約300万人)、ミャンマー・シャン州のシャン族(約200万人)、タイのタイ族(約5000万人)と現在の土地に定着した時期により違いはあるものの、いずれも同系統の民族である。彼らは言語においても、それぞれルー語、ラーオ語、シャン語、タイ語と使用する文字は違うものの、全てシノ−チベット語族のうちの南方系タイ諸語に属した言語を使っており、これらの言語は会話ではある程度意志疎通ができるくらい似ている。

 







 

 

 中国(雲南)

 ラ オ ス

 ミャンマー

 タ  イ

面 積

 38万q 

  24万q 

 68万q 

 51万q 

人口(95年)

3990万人

 490万人

4392万人

5980万人

G D P 
     
     
     

 974億元 
 (94年) 
(117億$)
       

7807億キープ
 (94年) 
  18億$ 
 (95年)

6036億チャット
 (95年) 
 (50億$)
 

2.69兆バーツ
 (94年) 
1671億$ 
 (95年)

主要貿易
 相手国 
(輸出) 
     


香港  (31%)
ミャンマー (29%)
日本  (10%)


越南  (33%)
タイ  (18%)
日本  ( 8%)


シンガポール(16%)
インド (12%)
中国  (11%)


米国  (18%)
日本  (17%)
シンガポール(14%)

(輸入) 
     
     
 

米国  (16%)
ドイツ (16%)
ミャンマー (12%)
 

タイ  (59%)
中国  ( 8%) 
シンガポール(7%) 
 

杓衿累為(31%)
中国  (30%)
マレイシア  (11%)
 

日本  (29%)
米国  (12%)
シンガポール( 6%)
 

                     (各国統計、IMF統計より著者作成)

 

 

2.各国における国境の開放状況

 中国、ラオス及びミャンマーの3カ国は外国との交流を制限していたが、特にラオスとミャンマーは鎖国に近い状態が長く続いており、人的移動や交易は厳しく制限されており、ヤミによる取引が細々と行われていた程度であった。このような状況の中で、各国とも改革開放が進んでいった。

 

 (1)ミャンマー

 

 (2)ラオス

 

 (3)タイから見た国境地帯

 

注1:ビルマ式社会主義

 

注2:ミャンマーの輸出税

 

注3:BOTプロジェクト

 

注4:チャット廃貨

 

注5:チャットの大暴落

 

注6:ノーンカーイ

 

注7:ウドンターニー

 

 

3.統計から見る交易の実態

 (1)タイ−ラオス

 

 (2)タイ−ミャンマー

 

 (3)ミャンマー−中国

 

 

 

(資料)

 

 タイ−ラオス貿易(95年)


 タイの輸入





 

総 額
木 材
鉱 石
皮 革
タバコ

 

1738
1552
  44
  29
  24

 







 

タイの輸出





 

総 額
自動車
石 油
機 械
電気機器
綿製品
 

8804
1496
1066
 585
 534
 392
 

                   (単位:百万バーツ、出所:タイ大蔵省)

 


タイ通過貨物
 

ラオスから 2617
 

 ラオス向け 6414
 


 

            (単位:百万バーツ、出所:タイ大蔵省)

 

 タイ−ミャンマー貿易(95年)







 

タイの輸入




 

総 額

 5511






 

タイの輸出





 

総 額

8638

木 材
 魚
宝石類
 

 4598
  756
   48
 

宝石類
飲 料
プラスチック・製品
履き物
 

 775
 734
 634
 539
 
 

                    (単位:百万バーツ、出所:タイ大蔵省)

 

 

 ミャンマーの国境貿易(92/93年)















 

輸 出











 

総 額    79698

中 国    41448
 果物     8879
 豆・野菜   6752
 魚      6575
 皮革     5673

 

タ イ    34314
 木材    20795
 魚      4987
 果物     3565
 茶、香辛料  1633


 


















 

輸 入










 

総 額   127635

中 国    77085
 綿製品   10649
 電気製品   8822
 石油     7334
 医療用品   6993
 機械類    5494
 自動車    5271

タ イ    45498
 タイヤ・ゴム 4356
 有機化学品  4110
 自動車    3202
 電気製品   2698
 プラスチック・製品  2654
 履き物    2691
 












 

                  (単位:万チャット、出所:ミャンマー大蔵省)

 

 

4.市場に見る交易の実態

 (1)中国

 

 (2)ラオス

 

 (3)ミャンマー

 

 (4)タイ

 

 

注1:中国人観光客で飛行機に乗れる人は、航空運賃が高いため限られており、一般には

 

注2:雲南省の投資受け入れ(95年)






 

香港      16785
タイ       5549
シンガポール  2661
合計      37459
 





 

   (単位:万USドル、出所:中国対外経済貿易年鑑96/97)

 

注3:陸路輸出されるタイ商品は、国内向け商品であることが多かったが、飲料などは輸

 

注4:モンゴルでの販売商品

 

注5:ラオス国内における外貨使用に関するコミュニケ(1997年6月24日、26日発表)の概要は以下の通り

  1. 商品に対する支払い、各種手数料及びサービス料に対する支払いを外貨で行うことはラオスの法律に違反しており、全ての支払いはキープで行うこと。
  2. 外貨を所持する者は、所持するのみならず預金することも可能。実際に支払いを行う際には、中銀から許可を受けた両替所においてキープに両替しなければならない。
  3. 中銀の許可なく両替所を開いたり、両替行為を行うことを禁止する。
  4. 特別に中銀から許可を得た場合を除いて、商品やその他のサービスの価格を外貨で表示することを禁止する。

注6:喫茶店

 

注7:FEC(Foreign Exchange Certificate=外貨兌換券)

 

注8:場所は違うが、91年11月にカンボディアのプノンペンで米ドルが24時間で3分の1に暴落する事件が起こったが、このような時でも街の両替商は常に的確な情報を得ており、どこでもレートは一緒であった(銀行の方がかえって取引を停止したりしていた。)。この為替情報は、両替商の元締めから日に何回も流れてくるとのことである。

 

注9:北部タイのメーサイやメーソットには観光客が訪れるが、彼らを目当てにミャンマ

 

 

5.今後の関係強化の見通し

 (1)発展のための条件

 

 (2)交易条件の変化

 

 

[参考文献]

 "Greater Mekong Subregion -Seventh Conference on Subregional Economic Coperation-" ADB 1997年4月

 「雲南省与周辺国家交通辺貿跨国旅遊指南」 人民交通出版社 1997年1月

※この文章は、97年8月に作成しました。